2019年10月6日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第323回です。
【俳句】
悔やんでも・悔やみきれざる・無月(むげつ)かな (川崎市 由良清流) (稲畑汀子選)
(なぜそんなに悔やむのか?余命宣告がからむと想像してみた。)
叩けども・終に動かぬ・籾摺(もみすり)機 (淡路市 中尾菲出)(長谷川櫂選)
(一緒に働いてきた友ももはやこれまでか。)
天国の・子らの繋ぐ手・鱗雲 (横浜市 杉山千津子)(高山れおな選)
(そうでも考えないといたたまれない事件の数々。)
【短歌】
白菜と・荏胡麻(えごま)のキムチ・閔(ミン)さんが・垣越しにくれたり・隣人うれし
(朝霞市 青垣進)(馬場あき子選)
(政治への静かなる抗議。)
俺のこと・名前で呼んで・くれるオモニ・来週行くよ・コリア・タウンに
(東京都 安田善三)
(前の一首と同じ。)
とろとろと、・終日ねむる・妻のため・粥煮る夕べ・ゆふがほ咲(ひら)く
(浜松市 松井惠)(永田和宏選)
(詩心が逆境の救いとなる。)