2019年9月29日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第322回です。

 

 

【俳句】

 

 

鰯雲・高層ビルの・群流る (東京都 野口嘉彦)(高山れおな選)

 

 

(ビル群を動かしてしまう大きな景色だ。)

 

 

秋風や・人を訪ねて・帰る人 (岐阜市 阿部恭久)(長谷川櫂選)

 

 

(一風景のようで人間関係の本質に迫る。)

 

 

敬老日・あの世の人を・惜しみけり (越谷市 新井高四郎)(大串章選)

 

 

(「惜しむ」は友人、同輩、「すいません」は先生たちに。)

 

 

【短歌】

 

 

変貌を・遂げてしまった・蛙なり・おたまじゃくしに・戻れと言えず 

(館林市 阿部芳夫)(佐佐木幸綱選)

 

 

(相手はいったい誰だろう?)

 

 

「福が満開、・福のしま」の・ポスターよ・そのフクシマを・我は追はれき 

(国立市 半杭螢子)(高野公彦選)

 

 

(「怨」は詠われるべし。)

 

 

長いこと・人を笑わせ・生きて来て・自分の中に・自分がいない 

(三郷市 木村義熙)(高野公彦選)

 

 

(誰もが同じ危険の中にいるのにそれに気づかないで生きている。)