2019年8月11日
朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第315回です。
【俳句】
集ひ来し・一人一人の・梅雨湿り (今治市 横田青天子)(稲畑汀子選)
(それに敏感なのは自分にも「湿り」があるから。その共感が人のつながりをつくる。)
夏行くや・旅終へ否応・なく一人 (北見市 藤瀬正美)(稲畑汀子選)
(旅とは一時の非現実、現実には戻らなくてはならない。とはいえ時期的にはやや早い。)
死に票を・投じて戻る・西日中(名古屋市 池内真澄)(長谷川櫂選)
(選挙は議員を選ぶだけのものではない。大世論調査であり、憲法改正国民投票の事前予測でもある。したがって政治的効果は大きく、死に票というものはない。)
【短歌】
芸ですか・人の頭を・叩くのは・人を叩いて・笑わせるのは
(神戸市 康哲虎)(馬場あき子選)
(いじめだらけのお笑い番組がなぜ許されているのか?日本人の下劣な品性を見せられてつらい。)
羽の生えて・きそうな肩甲・骨をして・少年はプール・サイドに並ぶ
(奈良市 山添聖子)(馬場あき子選)(高野公彦選)
(そこにたしかに美がある。)
原爆を・日本がつくったと・仮定して・使ったかと問わる・使ったと思う
(アメリカ 大竹幾久子)(高野公彦選)
(戦前の日本が普遍的ヒューマニズムに欠ける異常社会であり、国際的孤児であったこと、冷静に反省すべきだ。)
就職の・決まらぬ息子・そのことは・タブーのような・家族の夕餉
(和泉市 長尾幹也)(永田和宏選)
(原因こそ違え、日本中の家族のそれが現実。)