2019年2月24日

 

 

朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第291回です。

 

 

【俳句】

 

 

煮凝りの・鮒の目玉は・別にあり (東京都 望月清彦)(長谷川櫂選)

 

 

(よく考えてみれば、それでダメだという人もいるだろう。文化、まさに相対的。)

 

 

半農も・半漁も廃れ・冬ざるる (西海市 前田一草)(大串章選)

 

 

(「快適さ」を我々が得て、失うものは「記憶」だ。)

 

 

針供養・旧姓残る・鯨尺 (加古川市 森木史子)(高山れおな選)

 

 

(そんなものがあった記憶がある。今どこにあるのだろう。)

 

 

美術館・出て対岸の・朧(おぼろ)かな (松阪市 奥俊)(高山れおな選)

 

 

(集中して鑑賞したためと春。)

 

 

【短歌】

 

 

終活の・一環として・愛着を・断ち切り蒐(あつ)めし・書画を処分す 

(三原市 岡田独甫)(馬場あき子選) (佐佐木幸綱選)

 

 

(堪え難きこと、とは思うが、なぜそのようなことが必要なのかわからない。)

 

 

谷間から・我を見詰める・かもしかの・時間を止める・まなざしに逢ふ

 (徳島市 清水君平)  (佐佐木幸綱選)

 

 

(小生も冬毛のかもしかに遭遇経験あり。神秘的だった。)

 

 

もう九十・だからと人には・言うけれど・でも私には・ただひとりの父 

(広島市 沢井寛子) (佐佐木幸綱選)

 

 

(何よりも本人にとってただひとりの本人。)

 

 

父植ゑし・寒椿咲く・前庭に・たましひのごと・六花(むつのはな)ふる

 (越前市 内藤丈子)(高野文彦選)

 

 

(生前準備の樹木葬。)