2019年2月4日

 

 

朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第288回です。

 

 

【俳句】

 

 

浅間山・見せに出でたる・初介護 (深谷市 岩熊史城)(長谷川櫂選)

 

 

(山を意志ある造形、ひとつの彫刻ととらえてみよう。)

 

 

ずぶりと刃・立てて白菜・採り戻る (うきは市 江藤哲男)(長谷川櫂選)

 

 

(白菜と人間、水分含有率が同じくらいか。)

 

 

羽子板も・凧も出で来ず・過疎の村 (備前市 石谷みち女)(大串章選)

 

 

(日本中が日本でなくなる。過疎村はそのひとつの象徴。)

 

 

春近し・紫煙紫雲の・如(ごと)部屋に (船橋市 斉木直哉)(高山れおな選)

 

 

(紫煙はもはや詠われまい。この一首、歴史性を帯びる。)

 

 

予定とは・元気が基本・春近し (京都市 山崎貴子)(稲畑汀子選)

 

 

(疑いなきは春が来るということ。自然の確かさ、人間のはかなさ。)

 

 

【短歌】

 

 

くっついて・外遊重ねる・昭恵氏の・何も語らぬ・にこやかな口

 (近江八幡市 寺下吉則)(永田和宏選)

 

 

(精神に変調を来さぬか心配になる。)