2019年1月13日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第285回です。

 

 

【俳句】

 

 

冬帽子・目深に誰と・逢ふつもり (小樽市 伊藤玉枝)(大串章選)

 

 

(そういうわけではないのだが、そういうふうに言ってみるという、楽しさ、おかしさ、色気。)

 

 

面会を・拒みし友や・寒木立 (東京都 東賢三郎)(大串章選)

 

 

(拒否ではない、逃亡なのだ。そう考えないと自分が持たない。)

 

 

生牡蠣を・啜(すす)るフジタの・絵の白の (武蔵野市 福田一政)(高山れおな選)

 

 

(生牡蠣とフジタの絵の連想だけでもすごいが、啜ったのが生牡蠣ではないとするともっとすごい。)

 

 

霜柱・土中宮殿・きらめけり (三木市 酒井霞甫)(高山れおな選)

 

 

(「土中宮殿」の発見に尽きる。)

 

 

首振つて・おもちやの猿の・師走かな (千葉市 相馬晃一)(高山れおな選)

 

 

(じっとしてるのではなく、求めて動いている寂しさ。思わず買ってしまうかも。)

 

 

【短歌】

 

 

しぐれたる・休耕田の・草を食む・山羊の鳴く声・渓(たに)にひびけり

                  (尾道市 堀川弘)(佐佐木幸綱選)

 

 

(主張、発見等々、自己アピールの短歌が多い中、静かな叙情に惹かれる。)