2018年9月9日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇等からの印象句、印象歌の報告、第268回です。

 

 

【俳句】

 

 

吹く風の・自由秋桜(コスモス)・の自由 (霧島市 久野茂樹)(高山れおな選)

 

 

(秋桜は揺れていることが自由なのではなく、揺れるにまかせていることが自由なの

だ。)

 

 

トマトなら・火星の土に・馴染むかも (大阪市 森田幸夫)(高山れおな選)

 

 

(縦横に広がる句が良い。この場合は横(=宇宙))

 

 

鹿刺しや・平家の子孫・顔並べ (日南市 宮田隆雄)(高山れおな選)

 

 

(縦横に広がる句が良い。この場合は縦(=歴史))

 

 

白粉花・母の歴史は・謎のまま (飯塚市 釋蜩硯)(高山れおな選)

 

 

(前夜、母であり尼僧である人の自伝的小説を読んだ。知らなかった子どもたちは

びっくりであろう。)

 

 

たこ焼きで・三味線師匠を・待ち伏せる (富山市 谷田八束)

 

 

(年をとっての遊び心か。)

 

 

【短歌】

 

 

看守(ガード)らの・訓練射撃の・音がする・もしもの際に・我ら撃つため 

(アメリカ 郷隼人)(高野公彦選)

 

 

(日本の警察、自衛隊の訓練はどうだろう。)

 

 

中学の・恩師の法事の・隣席の・かすかに触れる・ひじのうれしさ 

(松山市 畑田九曜)

 

 

(高齢恋愛歌というのはあるようで稀だ。)

 

 

山を捨て・夫(つま)捨て子捨て・友を捨て・母看る郷里(さと)の・遠き青空 

(宇佐市 奥本眞弓)(馬場あき子選)

 

 

(青空と短歌があるという宣言の歌でもある。)