2018年2月26日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第240回です。
【俳句】
春の水・語らひながら・流れゆく (泉南市 藤岡初尾)(長谷川櫂選)
(不思議だが、確かにそういう感じがある。)
遠き日の・ことのごとしや・半仙戯 (山梨県市川三郷町 笠井彰) (長谷川櫂選)
(半分仙人になったような気分の遊び、それが「半仙戯」、ぶらんこのことだそうだ。お尻が入らない人用の大きいぶらんこがあってもいい。)
晩酌へ・つながる雪を・掻きにけり (山形県河北町 小山田恒吉)(大串章選)
(この事実は考えてみれば人間にとって重い。)
柚子(ゆず)風呂に・心の修羅を・沈めけり (東京都 有賀三奈子)(大串章選)
(沈まぬ修羅を思うべし。)
遠目にも・芽生えてをりし・柳の芽 (木更津市 本郷政信)(稲畑汀子選)
(そういうセンサーを持っていることがうれしい。)
【短歌】
晩酌し・三食きっちり・食べる夫・冬眠という・手立てはないか
(福岡市 永井祝子)(高野公彦選)
(きびしい。永遠の冬眠、それは殺意だ。)
わが辞書に・「我慢」といふ語の・無きごとく・生きこしが今は・独りぼつちなり
(秩父市 畠山時子)(高野公彦選)
(自己否定という肯定の仕方もある。)
解釈は・たったひとつで・九条を・読めば誰でも・解かる九条
(東京都 東金吉一)(永田和宏選)
(今日の改正論議に対応するためには、それでは不十分。学ばねばならぬ。)
新雪に・ぬきさしならぬ・用ありと・犬の足あと・猫の足あと
(新潟市 山影みさを)(永田和宏選)
(猫も雪にめげずに歩き回る。最近知った。)