2018年2月12日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第238回です。

 

 ところで一句、「風邪ひきの・予報士のする・予報かな」。

 

 

【俳句】

 

 

考える・人の隣の・雪だるま (戸田市 蜂須幸彦)(大串章選)(長谷川櫂選)

 

 

(西欧思想対東洋思想、とまで考えさせられる、おかし味。)

 

 

休校と・なり少年の・雪を掻(か)く (横浜市 森晶子)  (大串章選)

 

 

(休業と・なり役員の・雪を掻く、という事態もあった。)

 

 

情念の・凝り固まれる・海鼠(なまこ)かな (東京都 望月清彦)(大串章選)

 

 

(納得。ところで「海鼠」が「うみねずみ」と書くと初めて気づいた。)

 

 

天空を・あまねく統べる・寒の月 (神戸市 湧羅由美)(稲畑汀子選)

 

 

(君臨しているという感じの光だ。「煌々」に「皇」があるのもうなずける。)

 

 

慟哭(どうこく)の・果てに横たふ・海鼠かな (横浜市 吉村繁)(長谷川櫂選)

 

 

(これも納得。それを切り刻んで食べる人類というのも凄い。)

 

 

海に降る・雪となりしか・我が記憶 (筑紫野市 二宮正博)(長谷川櫂選)

 

 

(海が過去のすべての人類の記憶の集積と考えれば、それはそれは凄い!)

 

 

【短歌】

 

 

未練なく・放って子らは・巣立ちたり・筆箱、マフラー・漫画、木刀

(宗像市 巻桔梗)(馬場あき子選)

 

 

(未来ある者に過去は不要だ。そこには自分も含まれる。それでいいのだ。)

 

 

水仙の・丘に登れば・風荒(すさ)び・軍艦島に・白波高し

(小城市 福地由親)(馬場あき子選)

 

 

(純粋叙景歌がすがすがしい。)

 

 

海の旅・山の旅せし・かの酒仙・甘納豆も・好みしという 

(国立市 加藤正文)(高野公彦選)

 

 

(名を成せば、甘納豆が好きだったというのもエピソードになる。羨ましきことなり。)