2018年1月15日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第234回です。
【俳句】
己が腹・ポンと叩いて・初相撲 (京都市 飯村弘) (長谷川櫂選)
(何もなければ何でもない一句だが、今はこの句に喪失感が漂う。)
初暦・ひとりの部屋の・改まる (横浜市 片井久子) (長谷川櫂選)
(究極の友は「暦」が象徴する「時間」ということか。)
一人者・柚子湯の柚子に・語りかけ (高槻市 日下聰一)(大串章選)
(万物に神は宿る。)
【短歌】
あの気迫・あの速攻を・見ることも・かなわずなりぬ・ああ日馬富士
(舞鶴市 吉富憲治)(永田和宏選)(馬場あき子選)
(感動の種を感動を知らぬ人々に奪われた。喪失感にとどまらず怒りが湧いてくる。)
寒き日を・杖つき歩み・野仏に・来たりて長く・淋しさ語る
(横浜市 笠松一恵)(馬場あき子選)
(神仏の人格化とはこのような人々のためにあるわけだ。承認しよう。)
市役所に・離婚届を・出し終えて・我に買いたり・一輪のバラ
(国立市 野田貴子)(高野公彦選)
(重大事ではあるが決定的なことでもない、なくなった。)