2017年12月4日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第229回です。

 

 

【俳句】

 

 

横綱の・マスク悲しや・飛行場 (高岡市 池田典恵)(大串章選)

 

 

(「悲し」の意味が人によって大きく異なる対立的事態になっている。筆者の場合は横綱に対するそんなことになってしまった「おわび」をいっぱい含む。)

 

 

公園の・枯葉のための・ベンチかな (山形市 鈴木貴念子) (大串章選)

 

 

(言ってみただけのことだが、それによって意味が立ち上がってくる。)

 

 

【短歌】

 

 

死ぬことの・覚悟はすでに・出来てるが・初めてなので・不安は残る

(三郷市 木村義熙)(高野公彦選)(永田和宏選)

 

 

(日常の不安、心配、懸念、みんなたいしたことはない。最も重大な死についてさえ、この程度なのだから。)

 

 

古希を機に・法衣をまとう・四つ切りの・遺影写真を・用意し五年経(ふ)

 (三原市 岡田独甫)(永田和宏選)

 

 

(古希間近だが、どうもそれに合う写真がない。)

 

 

死ぬばかり・憧れし人に・美の在処(ありか)・ほのかに示す・伎芸天の指 

(徳島市 上田由美子)(馬場あき子選)

 

 

(奈良・秋篠寺の伎芸天、多くの人を魅了してきた。美の在処を示すがゆえであったか!)