2017年11月27日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第228回です。
【俳句】
和服着る・楽しみありて・冬に入る (八代市 山下接穂)(稲畑汀子選)
(その楽しみに外出時の御高祖頭巾を入れてほしい。人を美しく見せる御高祖頭巾の復活を願っている。)
死なば冬・大き眠りの・ときなれば (福岡県鞍手町 松野賢珠) (長谷川櫂選)
(静かであることが何より望ましい。)
悪戯(いたずら)の・全身ゐのこ・づちだらけ (枚方市 山岡冬岳)(長谷川櫂選)
(セーターを着てたりしてたら大変だ。)
山粧(よそお)ふ・老いは十人・十色かな (羽村市 寺尾善三)(大串章選)
(自己主張がなければ十人一色。警句として読みたい。)
【短歌】
鯉にパン・やるおじさんの・話出て・それが夫と・よう言わず居り
(宝塚市 萩尾亜矢子)(高野公彦選)
(夫を孤独に追いやった軽い罪悪感がしからしむるのかな。)
おまえよく・ここに居ること・わかったね・昨日私が・入所させたの
(横浜市 林直美)(永田和宏選)
(詠われることの稀な感情。)
授業中・窓から心を・投げている・君よ 瞳に・何を棲まわす
(千葉市 愛川弘文)(馬場あき子選)
(「君」「瞳」で清純が、「棲む」で動物性が示唆される。)