2017年11月6日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第225回です。
【俳句】
幾万の・枯葉流れに・逆らはず
(オランダ モーレンカンプふゆこ)(金子兜太選)
(壮観、とも言えるが、警句とも読める。)
疎ましき・饒舌の世や・秋しぐれ (いわき市 星野みつ子)(金子兜太選)
(と言ってみて自分の寡黙の中身のなさに気づくこともある。)
秋ふかし・何しに二階へ・来たのやら (東京都 矢野美与子)(金子兜太選)
(秋の夜は知らず幽冥界ぎりぎりのところにいたりする。)
時雨忌や・命の限り・万歩計 (柏市 藤嶋務)(大串章選)
(長谷川時雨と間違っちゃった。何で万歩計なのかなんて。)
【短歌】
書き損じ・修正液で・消してゆく・つもりで美白・クリームを塗る
(鎌倉市 半場保子)(高野公彦選)
〈自己満足でも満足できるならいいということ。)
哲学を・語りし後の・寮生ら・裏の畑の・豆少し盗る
(仙台市 星川滉一)(馬場あき子選)
(哲学を道徳と誤認している例。哲学は道徳ではなく、道徳の根拠を問うものだ。)
通るたび・異臭感じて・ふと見れば・お堂の屋根で・イタチ死におり
(三原市 岡田独甫)(馬場あき子選)
(死体になじまぬ社会ではそのぐらいの大きさでもショックがある。総合的に考えればいいことだ。)