2017年3月13日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第192回です。

 

 

【俳句】

 

 

入学も・卒業もなき・子供かな(川崎市 多田敬)(大串章選)

 

 

(当たり前の経験が当たり前でない子供が日本に、世界に、たくさんいる。)

 

 

日向ぼこ・競ふ心を・棄てられず (秦野市 小巻一吉)(大串章選)

 

 

(それは社会的病理なのか、人間本来の生命力なのか?)

 

 

春の丘・邪馬台国は・かくありし (芦屋市 瀬戸幹三)(稲畑汀子選)

 

 

(筆者は九州でそれを感じたが、作者は住所からすると近畿説であろう。)

 

 

としごとに・見目うるはしき・雛飾る (敦賀市 村中聖火)(稲畑汀子選)

 

 

(こどもの頃は魅力的な顔には見えなかった。歳によって日本回帰するのだろうか?)

 

 

三月は・悲の月・十日我が生る (日立市 加藤宙)(金子兜太選)

 

 

(3.11、そして東京大空襲、誕生日が3月10日の母は誕生日がいつも法事だとこぼしていた。そして3月に亡くなった。)

 

 

アメリカは・どうなるんだと・目刺焼く (芦屋市 瀬戸幹三)(金子兜太選)

 

 

(悪魔トランプによって平穏な日常が破壊されるおそれ、ひしひし。)

 

 

【短歌】

 

 

 ブラームス・聴きつつ瞑想・する亀と・まどろむわれと・午後のひだまり 

(武蔵野市 田島千代)(永田和宏選)

 

 

(老後はこれでいい。)

 

 

 もう一度・咲きたかったと・つぶやきが・聞こえたような・桜の切り株 

(東京都 佐野幹夫)(佐佐木幸綱選)

 

 

(お花見で、みんなふれることはないが、どきっとさせられる現実。)