2017年2月20日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第189回です。

 

 

【俳句】

 

 

佐保姫の・笛吹峠で・舞ひにけり (久慈市 和城弘志)(金子兜太選)

 

 

(峠のほうが寒かろうに、なぜ佐保姫はそこで舞う?答えは簡単、そこに笛の音がするからだ。注:佐保姫とは春の女神。)

 

 

亡き母や・遠く真白き・梅の花 (横浜市 山本裕)(長谷川櫂選)

 

 

(死ぬ季節を選べるのなら、女性は春か秋、花の季節が得だ。)

 

 

遠き日や・英男の雪が・今も降る (新潟市 岩田桂)(大串章選)

 

 

(「♪雪の降る町を 思い出だけが通り過ぎてゆく」内村直也作詞、中田喜直作曲。高英男が歌っていた。)

 

 

恋猫や・紙漉村に・闇深し (東京都 望月清彦)(大串章選)

 

 

(紙漉き村なら夜も暗かろう。濃密な闇に猫が狂う。)

 

 

【短歌】

 

 

 幸徳秋水の・墓前祭今日*中村の・町にことしも・風花の舞う 

(四万十市 岡添眞子)(馬場あき子選)

 

 

(大逆事件で処刑された幸徳秋水は土佐中村の出身。郷土の誇りとする土佐の人たちはエライ!)

 

 

 給食で・初めて食べた・まめぶ汁・人生がまた・楽しみになる 

(富山市 松田わこ)(馬場あき子選)(高野公彦選)

 

 

(まめぶ汁は朝の連ドラ「あまちゃん」で有名になった岩手の郷土料理のはず。「あまちゃん」連想で人生が楽しみになった?)

 

 

だんだんと・おとなしくなる・身の内の・鬼に向かひて・少し豆撒く 

(前橋市 荻原葉月)(馬場あき子選)

 

 

(筆者の場合、おとなしくなるようでもあり、逆であるような気もする。自分に豆は撒かない。)

 

 

カド番で・土俵を割りし・大関の・ひとつしずかに・息を吐きたる 

(八尾市 水野一也)(永田和宏選)

 

 

(体調不良ゆえ、不運と自分を許せるのであろう。春場所は照ノ富士がカド番で心配だ。)