2017年1月23日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第185回です。

 

 

【俳句】

 

 

白金の・ご飯黄金の・寒卵 (平塚市 日下光代)(長谷川櫂選)

 

 

(好む人は多いけれど、これほど豪華に詠んだものはないだろう。)

 

 

冬木立・記憶を秘めて・黙しけり (戸田市 蜂須厚子)(大串章選)

 

 

(冬木立に高潔な人格を感じる人、これまた多い。)

 

 

新年や・トランプよりも・歌かるた (熊本市 金場貞子)(大串章選)

 

 

(トランプで遊ぶのは節分の豆まきの時にしよう、「鬼は外!」。)

 

 

静かさや・廃墟の街に・飾りなし (いわき市 佐藤英二)(大串章選)

 

 

(フクシマは明日の日本の地方の姿だ。)

 

 

【短歌】

 

 

 対話する・能力と語彙・減って行く・空気動かぬ・独居房にいて 

(ひたちなか市 十亀弘史)(馬場あき子選)

 

 

(独居房は高齢化日本を象徴する。そこでより根源的なものが失われていく。「群れない猿」。)

 

 

 我が庭の・落ち葉の中に・潜みたる・首切螽斯(クビキリギス)を・踏みし悔恨 

(熊谷市 内野修)(馬場あき子選)

 

 

(こちらが踏まれる場合もある。そのとき相手に悔恨があるだろうか?)

 

 

道端に・すみれが一輪・咲き出して・誰も知らない・約束のよう 

(摂津市 内山豊子)(馬場あき子選)

 

 

(誠に佳景ではあるが、この小さきものの所有感覚、これが実は曲者なのだ。)

 

 

鞄抱え・地下鉄に乗る・元旦は・寝たふりをして・存在を消す

(大阪市 渡辺たかき)(馬場あき子選)

 

 

(元日からの自己否定感、たぶん3割はいるだろう。)

 

 

終電の・時刻を知って・いることで・私はわたしで・いられる気がする 

(長野市 小山美由紀)(永田和宏選)

 

 

(終電を逃してしまう小生としてはイタイ。)