2017年1月9日

 

 

 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第183回です。本年もよろしく。

 

 

【俳句】

 

 

問はれても・先祖代々・海鼠(なまこ)なり (一宮市 岩田一男)(長谷川櫂選)

 

 

(ナマコは大きくなったら何になるの?と聞いた子がいたのであろう。いい質問だ。)

 

 

 峡(たに)も奥・枯野に還る・棚田かな (米子市 中村襄介)(稲畑汀子選)

 

 

(国富が国中で無残にも捨てられている。気づかない人が多い。)

 

 

千葉県と・書きし賀状は・相馬の子 (山武市 秋山滋)(金子兜太選)

 

 

(我が日本、「めでたさは中ぐらい」などとは言っておれぬ。)

 

 

国挙げて・カジノに賭けるや・冬ざるる (交野市 遠藤昭)(金子兜太選)

 

 

(冬ざっているのはカジノ賛成の日本人の心。)

 

 

【短歌】

 

 

 オムレツにも・卵焼きにも・なれぬまま・アジのフライの・つなぎで終わる 

(福岡市 東深雪)(高野公彦選)

 

 

(このような消極的自己肯定は筆者は嫌いだ。)

 

 

 あなたの・テントのそばを・通りました・赤いゾウリ・捨てられないのですね 

(ホームレス 坪内政夫)(永田和宏選)

 

 

(ホームレス秀歌!)

 

 

福島の・ひとつひとつを・ていねいに・旅して歩く・人として当り前 

(函館市 武田悟)(佐佐木幸綱選)

 

 

(同胞に過酷な運命を強いてしまったことの悔いはどうしたらいいのだろうか?作者の答は遍路、福島八十八か所だ。)