2016年12月2日

 

 

 自由民主党、日本維新の会は、日本という国家を大切に思い、天皇を尊崇し、領土領海を守り、国民の道徳的向上を図っていくということを理念としてきた政党のはずだ。その2党がカジノ法案を強行成立させようとしている。そのことが表わしているのは、2党が掲げてきた理念が嘘っぱちであり、彼らは利益のためには理念に反してもかまわないというインチキ政治集団でしかないということである。

 

 

 カジノ法案の目的は、経済成長、地方振興、外国人観光客の増加などとされているが、要するにギャンブル振興によってお金を儲けよう、国も地方も企業も潤い、雇用も増加しますよという考えの法案だ。

 その結果として国民がギャンブルの方向に導かれることにはほとんど、まったく問題意識をもっていない。

 「ギャンブル依存症」という単語があり、精神医学の上でも使われている言葉だが、実に有害な概念だ。すなわち、「症」という字が使われることによってギャンブル依存は限られた一部の特殊な人間にとってのみ有害なものにすぎないという誤解を世間に生じさせているからだ。

 ギャンブル、すなわち博打は、親不孝というのが、しばらく前までの日本の通念であった。「見てはらく なして苦敷(くるしき) 世の中に せましきものは かけの諸勝負」とは博徒・国定忠治の辞世だ。言うまでもなく、現行刑法ではギャンブルは罪である。

 

 

 ギャンブルは世の中全体に深刻な打撃を与える。依存する本人を不幸にするのみならず、家族をはじめとする周りを巻き込むことになる。どれだけの人生、人格が破壊されてきたか、その悲惨は筆舌に尽くしがたい。依存症対策をすればそれで済むというような甘いものではない。しかし、もっと深刻なのは、安易に金を稼ぐ道を開くことによって、勤労のプライド、額に汗して働くという近代産業国家・日本を支えてきた道徳に打撃を与えるということである。日本人の道徳的頽廃を招き、日本人の労働者としての質を低下させるということである。

 

 

 領土領海を守り、国民の自由と幸福を追求する権利を守るとしている政党が、なぜ国民をダメにする政策を平気で強行するのか?

 その答えは明らかだ。彼らは、目先の経済的利益と利益の源泉となる権力の維持に熱心であるにすぎず、真の意味で国民を愛していない、大事に思っていない、そしてその国民を赤子とする天皇を尊崇していないのだ。ギャンブルをよしとする彼らの道徳的言辞、教育的言辞はすべて裏のある、信用しがたいものであると考えざるを得ない。

 

 

 (本日(12月2日)朝刊によれば、公明党採決容認、民進党もふらふら。何ということだ!!)