2016年9月16日
以下は筆者の読み、すなわち推測である。証拠はない。しかし、強いリアリティを筆者は感じている。
甘利事件は典型的な受託収賄事件の外見を呈していた。しかし立件に至らなかった。UR(独立行政法人都市再生機構)側が何んやらの賠償金の増額にあたり、甘利議員側の圧力をまったく感じず、独自の合理的判断を貫いた結果の賠償金額決定であったとの主張を「みごとに」貫いたからである。(検察のやる気のなさは今回措いておく。)甘利側の働きかけをそよ風のごとく感じていただけだとUR側は説明し続けたのである。甘利の圧力によって賠償金額を増額したという事実をUR役職員が勇気をもって語れば、甘利はお縄頂戴であった。UR役職員は、甘利が安倍首相の一の子分であり、安倍政権はかなり強いという読みのもとに、甘利を助けるほうの道を選んだのである。政治的圧力に負けて賠償金額を増額したという恥をかかないで済むメリットもUR側にもちろんあったはずだ。
あの鈴木宗男がお縄頂戴になった事件があった。北海道の国有林での違法伐採事件である。違法伐採事件を起こした山林業者の行政処分に関して、林野庁幹部が鈴木宗雄の圧力があったことを法廷で明確に証言したのだ。政界の実力者と真正面からぶつかり合う、その勇気ある証言がなかったならば、鈴木宗男は甘利と同様に白とされていただろう。当該林野庁幹部がどのような政治的読みをしていたのかはわからない。しかし、事実に即して事実を語ったという意味で、甘利事件のUR役職員より彼は相当エライと言わなければならない。
さて、築地・豊洲移転問題である。ノミの心臓の都職員がなぜ第3者委員会の提言を大胆に無視したのか、筆者は不思議で仕方がなかった。本日の報道でストーリーをはっきり理解することができた。問題とされる工事方法の出所は、尖閣でA級戦犯の罪を犯した元都知事石原慎太郎だったのだ。一世風靡の実力親分からこれで行けと命令されたとき、都職員はヘビの前のカエルだ。自らの来し方行く末を思ってひとかけらの抵抗さえおぼつかない。親分の方針を最短距離で実施に移したのだ。さて、事がばれた今日に至って、今やボケ老人と化した石原を都職員は守るのか?小池につくのか、議会自民党につくのか、ボケ老人石原への態度はどっちにどう影響するのか?不運にも当事者となった都職員は夜も眠れない毎日であろう。
楽になるのは事実を語ることだ。ウソを語れば次のウソを考え出さねばならなくなる。事実を語るだけのことだが、それを敢えて勇気と呼ぼう。都職員よ、勇気を発揮せよ!!