2016年8月15日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第163回です。
【俳句】
廃駅の・栄華の名残り・夾竹桃(きょうちくとう) (茅ヶ崎市 清水呑舟)(大串章選)
(デカくて、無秩序で、おかまいなしに、豪勢に咲く夾竹桃、かつては調えられていた時もあったのだ。)
ふと風の・そよぎに気づく・晩夏かな (川西市 上村敏夫)(稲畑汀子選)
(今朝、ゴミ出しに行って、それを感じた。)
昼酒と・咎むるなかれ・暑気払い (鹿児島市 青野優子)(稲畑汀子選)
(昼酒は季節ごとの言い訳を要す。)
ひとり居の・姉の生まれし・終戦日 (明石市 江尻順子)(金子兜太選)
(何ゆえのひとり居か?終戦日と因果関係はあるのか?いろいろ考えてしまった。)
【短歌】
碓氷峠(うすひたうげ)・楚々とかがよふ・山法師・この花好みし・父の偲ばる (国立市 半杭螢子)(佐佐木幸綱選)
(そろそろ小生も宣言しておこうか。)
落下傘を・切り裂き首に・ながしたる・特攻くづれに・またも八月 (長野県 沓掛喜久男)(永田和宏選)
(高齢者の荒ぶる心を軽視するなかれ!なお、落下傘を絹のマフラーにしていたということ、念の為。)
荒野とは・男があこがれ・目指す場所・なんてこと言い・笑われている (守口市 小杉なんきん)(永田和宏選)
(実人生を語りえず、抽象的に言うだけしかできない。ひどく哀れで、悲しい。)
山里に・熊や猪・出没し・町にはポケモン・歩きはじめる (広島県府中市 内海恒子)(馬場あき子選)
(国土全体のジャングル化、いいではないか!ただし、ポケモンのほうは人工のものでしかない。)