2016年8月1日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第161回です。
【俳句】
雷鳴の・空より蝶の・天降(あも)り来ぬ (熊谷市 時田幻椏)(金子兜太選)(長谷川櫂選)
(街中でも天界からのメッセージを感じることができるラッキーな機会というのがある。)
青田中・なにゆゑにある・大樹かな (彦根市 阿知波裕子)(長谷川櫂選)
(一本だけ屹立する大樹、意味がないはずはない。それを知ろうとせずにはいられない人間というもの。)
パリ祭や・歌唄ひつつ・草を刈る (備前市 石谷みち女)(大串章選)
(モダニズムは津々浦々、山林田野に及ぶ、我が日本。)
【短歌】
闇深き・心というより・闇の無き・薄き心の・所業と思う (丸亀市 金倉かおる)(佐佐木幸綱選)
(まことに指摘のとおり。闇を知ればおのずと謙虚になるはず。なせる所業はまるで単位稼ぎのレポートのよう。)
病弱の・母との暮らし・支ふると・大学去りし・ゼミ生一人 (静岡市 安藤勝志)(佐佐木幸綱選)
(個人ではどうしようもない社会の仕組みの拙劣に我々はもっともっと直面することにならざるをえないようだ。)
海霧は・島も岬も・飲み込みて・ただ大き弧を・生まむとぞする (藤沢市 水町和美)(佐佐木幸綱選)
(人間的意味を超えているところに宇宙・自然のありがたさがある。)
体から・悪霊払う・十二種の・スパイス混ぜて・カレーを作る (神奈川県 九螺ささら)(高野公彦選)
(魔女的気分。)