2016年1月4日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第131回です。
【俳句】
まだ夢を・見つづけている・枯木かな (廿日市市 伊藤ぽとむ)(長谷川櫂選)
(その夢いささか 推しはかられる )
空爆も・テロも嫌ひて・大根(だいこ)干す (北杜市 北村和利)(長谷川櫂選)
(逃れられない このごろの世)
着ぶくれて・老けゆく年を・繕はず (福津市 下村靖彦)(大串章選)
(それもよけれど そうでなくともよし)
露の世に・残る橋脚・仰ぎ見る (鹿児島市 青野優子)(大串章選)
(つわものどもの 村おこしはるか)
風邪ひかぬ・やうにやうにと・ひきにけり (川西市 上村敏夫)(稲畑汀子選)
(たった一夜の ゆるみが悔し)
また何か・探しはじめし・湯ざめかな (大阪市 西尾澄子)(稲畑汀子選)
(見つけて驚く どうでもよきこと)
屋上の・人に見らるる・焚火かな (相馬市 根岸浩一)(金子兜太選)
(我知らずして 火を絶やさんとす)
【短歌】
除染地に・自動車(くるま)猫車(ねこ)など・赤錆(あかさび)て・光なくして・現場に終る (須賀川市 布川澄夫)(佐佐木幸綱選)
(オリンピックなんてやってる場合じゃないでしょ。)
本当は・死にたくないと・言うべきを・忘れないでと・ささやき逝った (栃木県 岡田智子)(高野公彦選)(永田和宏選)
(人の語る最期の詩だ。)
姉逝きて・終(しま)いし牧(まき)は・畑(はた)になり・牛の匂いも・風に散りゆく (佐世保市 近藤福代)(馬場あき子選)
(規制緩和すれば云々とほざいていた討論番組の経済学者を許せぬ。)