2015年12月7日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第128回です。
【俳句】
毛糸編む・心の糸を・絡めつつ (新潟市 岩田桂)(大串章選)
(うまい!)
古希という・枯野の中の・駅に立つ (八尾市 岡恭介)(大串章選)
(単線ですね。)
着るものに・もう迷ひなし・冬に入る (藤沢市 小田島美紀子)(稲畑汀子選)
(筆者はコートに裏地をつけました。)
顔全部・使ひ切ったる・大嚔(おおくさめ) (千葉市 笹沼郁夫)(金子兜太選)
(あたりはばからず。)
もう要らぬ・ネクタイあまた・年支度 (横浜市 今村千年)(長谷川櫂選)
(これがなかなか捨てられない。不可能とさえ言える。)
雪吊りの・時うつくしく・止まりをり (青森市 小山内豊彦)(長谷川櫂選)
(たしかにあれは時をも止めているように見える。)
【短歌】
捨てありし・油まみれの・作業服・貴重なる職を・子は手放しぬ (男鹿市 天野美奈子)(佐佐木幸綱選)
(捨ててあった作業服から子どもが仕事を止めたのを知る、子どもは何も言わない。心配するだけの悲しい親。)
手を引かれ・国境越える・幼子の・笑顔が痛し・難民の列 (船橋市 山崎三千子)(佐佐木幸綱選)
(「痛い」、まさに「痛い」。)