2015年11月18日


 およそ対立する領土領海の問題については、対立するそれぞれの国がその法的根拠を出し合うものだ。

 日本の場合は、それが最終的に法的勝利を得られるかどうかは別にして、北方4島、竹島、尖閣についてその法的根拠を明らかにしている。

 しかしながら南沙(スプラトリー)諸島について中国がどのような法的根拠によって自国領土と主張しているのか、聞いたことも見たこともない。

 そして中国だけがおかしいのではなく、それを認めないとしているフィリピン、ベトナム、そして当事国ではないが強く中国を批判しているアメリカも日本も、その主張の法的根拠を明らかにしていない。


 領土領海については慣習的国際法があり、また領海及び接続水域に関する条約という成文法もある。国連海洋法条約もある。

 これらに照らして自国の主張こそ法的に正しいということが、なぜ言われていないのか?言われているとしたら、なぜそれが報道されないのか?

 単に自国にとって有利だから不利だからということで問題を決着させようとするのであれば、それは日本が大事にしているはずの「法の支配(=法治主義)」とは言えない。

 まずは双方の主張する法的根拠について理論闘争がなされるべきはずだ。


 「法の支配」というものを理念とし、価値としているはずの日本国政府、日本のマスコミはなぜ南沙諸島の領有権をめぐる法的根拠について言及しないのだろうか?

 そのことに日本国民はなぜ不思議にも思わず、平気でいられるのだろうか?そもそも日本人は大丈夫なのだろうか?