2015年11月14日


 職場の防火訓練のお知らせがエレベータホールに貼ってあった。

 「非常サイレンが吹鳴しますが、訓練ですのでお間違いないように」とある。

 見れば意味はわかるが、「吹鳴」とは聞きなれぬ言葉だ。「サイレンが鳴りますが」という表現で十分なはずだ。

 お知らせはビル所有者と管理会社の連名だが、どちらも「吹鳴」なる言葉を使う世界の住人とは思えない。どこから「吹鳴」が出てきたのか?


 お知らせの内容からして、なるほどこれは消防署用語に違いないと気がついた。

 消防署は警察、自衛隊と並ぶわが国の公的実力組織だ。実力組織だから、仕事の対象は観念的ではない、生々しい具体的な世界である。その生々しい世界に対して、公的機関であるがゆえの無理にむずかしい言葉を使用する傾向で対応しようとするため、けっこう面白い結果を生むことになるのだ。


 次に掲げるのはそれぞれ実力組織の言葉で、みなさんが使わないのは当然として、その意味あるいはどういう場合に使われる言葉か、みなさんはおわかりになるだろうか?

 「誰何」「弁色力」「捧持」「侍立者」「光庭」。