2015年9月19日


 憲法第98条により憲法に違反する法律は無効である。これにより、すでに新安保法制の中の違憲部分は無効である。これは厳然たる事実である。

 だからといって安心して何もしないでいいというわけにはいかない。

 すでに無効ではあるが、無効が確認されるまでには、法律に基づく具体的な政府の対応、それに対する違憲訴訟、違憲判決後の法的手続き等を要するからである。

 また、集団的自衛権に基づく武力行使については直ちに違憲だが、外国軍への後方支援、武器等防護についてはケースバイケースの法的判断が必要とされる可能性があるからである。


 したがって、無効が確認されるまでの間に、違憲の命令によって多くの自衛隊員の命がむざむざ失われてしまう可能性がある。

 その可能性を極小にするための努力が不可欠である。


 まずは、国会が決めた法律は、当然のことながら、国会によって廃止することができる。与党が欠陥法であることを反省すれば、明日にでもできる。

 このため、新安保法制に反対した野党には、公約のトップに違憲立法廃止を掲げて衆参の選挙戦を戦ってもらい、国民はその野党を支持する、これが第1であり、基本的な対応である。


 第2は、違憲訴訟をできるだけ早く、できるだけたくさん提起し、地裁段階からどんどん違憲判断を下させ、自衛隊最高司令官である総理大臣が出動命令を出せない状況をつくることである。

 これはすでに法曹界が一丸となってすでに準備に入っている。

 訴訟が提起されれば敗訴必至であることを知っている政府は自衛隊出動命令を躊躇するであろう。しかし、一方でアメリカは安倍晋三の約束が本当なのか確かめるための要求を日本にいろいろと突き付けてくる。日本政府は板挟み状態に追い込まれる。

 そのときの政府の判断がアメリカ寄りにならないように国民世論がつっかえ棒にならなければならない。


 第3は、情報操作に対する我々の抵抗力を高めておくことである。

 戦前の例に見られるように、実は戦争は国民の圧倒的支持・熱狂のもとに開始されるものである。相手国の反日姿勢、反日行動(日本商品のボイコット、日本人の生命・財産の侵害、軍備増強、軍事演習等々)が敵愾心を煽るように圧倒的な勢いでマスコミによって宣伝される。その激しさは、これを言っている筆者とても影響から免れうるか不安を感じるものである。

 政府、マスコミ一体となった世論操作は、周到に計画され、国民世論を戦争への方向に誘導するものである。勢いがついてしまった場合、国会の事前承認などにまったく信頼をおくことはできない。

 (あとから間違った戦争と言われたイラク戦争、そのターゲットとなったフセインの悪玉説を我々は当時丸呑みにしていたのではなかったか?)

 政府・マスコミの世論操作からの自由を確保すること、もっともらしい宣伝に対する批判性を持ち続けること、このことが必要である。

 これを個人で行うことは容易ではない。多くの情報にアプローチしておくとともに、仲間たちとの絶え間なき情報交換がなされなければならない。


 3番目がいちばん難しい。3番目を確保するためには、マスコミだけが情報源というような安易な生活態度は許されない。情報操作の外にアンテナを立てておかなければならない。

 すでに、強行採決などなかったように、問題から国民の目をそらすような番組に満ち満ちた状態に我々は取り囲まれている。

 一方で国民の目と耳をふさぎ、あるとき特定の情報を集中的に浴びせかけてくる。それが彼らのやり方である。

 我々の日常を意識的に変えて、警戒を怠らないようにしなければならない。我々は今回の事態でそれを要求されている。