浅草煮込み通り(ホッピー通りとも言われる)の居酒屋「七十里(なとり)」のおやじさんと冗談を交わしていて、どういう話の弾みだったのかよく覚えていないのですが、「それなら僕の現代語訳をお見せしましょう」ということになって、般若心経の現代語訳を作りました。
解説、注釈なしでわかるように作ったつもりで、10年以上前に作ったものとはずいぶん違うものができました。
現代語訳般若心経(2015年9月版)
【観自在菩薩 行深般若波羅密多時】
まだ最後の悟りに至ってはいないお釈迦様が、この世の本当の真理を知ろうと修行を続けていた時
【照見五蘊皆空】
色・受・想・行・識の五蘊(世界を知る上で必要とされている5つの要素)、すなわち人が見たり、聞いたり、感じたりすること(=色・受)、それぞれが同じだとか、仲間だとか、違うだとか、原因だとか、結果だとか、ああすればこうなるだとか、そうはならないだとか、いろいろ人が考えること(=想・行・識)は、みんな、この世の本当の真理とはまったく関係のない、人間が自分たちの都合で勝手に世界を区分けして、考え出したことに過ぎず、世界はそもそも区分けできない曖昧・朦朧(あいまい・もうろう)としたもの(=空 )ということがわかった。
【度一切苦厄】
その結果、(すべての悩み苦しみは人間が自分たちの都合で勝手に考え出したことから生じているに過ぎないということがわかったので、)すべての悩み苦しみから解放されることができた。
【舎利子】
シャータリプトラよ。
(ここからはお釈迦様の弟子(シャータリプトラ)への語り)
【色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識 亦復如是】
人が見るもの、聞くもの、感じるものは、みんな、人間が自分たちの都合で世界を勝手に区分けして考え出したことに過ぎないのだ。人間が自分たちの都合で世界を勝手に区分けして考え出したことに過ぎないものを、人は見たり、聞いたり、感じたりしているのだ。
そして、人が見たり、聞いたり、感じたり、それぞれが同じだとか、仲間だとか、違うだとか、原因だとか、結果だとか、ああすればこうなるだとか、そうはならないだとか、いろいろ人が考えることは、みんな、この世の本当の真理とはまったく関係のない、人間が自分たちの都合で世界を勝手に区分けして考え出したことに過ぎないのだ。
【舎利子】
シャータリプトラよ。
【是諸法空相】
このように、なにもかもが人間が自分たちの都合で勝手に世界を区分けして考え出したことにすぎないのだから、
【不生不滅 不垢不浄 不増不減】
生じるとか滅びるとか、汚いとかきれいとか、増えるとか減るとかは、人間がそう感じるだけのことであって、そもそも、生じたり滅ったり、汚かったりきれいだったり、増えたり減ったりしているのではないのだ。
(後)に続く