2015年7月28日


 新安保法制についての参院審議が始まった。昨日(7月27日(月))は本会議での各党代表質問であった。与党を含め各党の基本的スタンス、問題意識を表明する場である。インターネットの参院国会中継録画ですべての質疑を見た。


 与党・自公からもそれぞれ質問があり、いい質問もあって答弁を期待させるものであった。

 自民党からの質問では、「新安保法制の提案の背景には日本をめぐる国際環境の著しい変化があると説明されている。新安保法制を必要とするどのような変化があるのか?」「抑止力の強化によってリスクを減らすとされているが、リスクが減ることを明確に説明せよ。」という趣旨の質問があった。

 公明党からの質問では、「(集団的自衛権行使の対象となる)存立危機事態について具体的に国民が納得できるように説明せよ。」という趣旨の質問があった。

 政府側との事前調整が当然なされている質問であるはずで、衆院段階での野党への答弁とはレベルが違う、国民の理解を促すための丁寧な答弁が準備されていると思った。


 ガーン!!(自民党に対する答弁で)もう一つガーン!!(公明党に対する答弁で)。

 まったく、これまでの答弁を繰り返すだけの内容のない答弁だった!!与党に対する無礼であろう!!

 国際環境の変化として北朝鮮、中国、IS、外国での日本人襲撃、サイバー攻撃等を羅列するだけだった。

 ゆえに一国だけでは安全を確保できない世界になったなどとアナクロニズムの結論を述べ、抑止力の強化が必要、ゆえに新安保法制という中間項のない雑駁で抽象的な論理を述べるだけだった。

 存立危機事態の具体例を1つさえ上げることをしなかった。「あらゆる情報によって政府が総合的に判断する」としか述べなかった。

 これは国民を説得し理解を得ようという姿勢ではないという宣言である、としか理解できない。「問答無用、俺について来い」と言っているだけなのだ。

 しかも、驚くべきことに、これまで集団的自衛権行使の典型例として上げられてきた「日本人救出外国軍艦攻撃事態」について、様々な条件を上げて、ここでも「総合的に判断」として、直ちに対処行動をするものではないことをいやに丁寧に答弁したのである。論理的欠陥があることに気づいたのであろうが、これまで国民を欺いていたことを自ら告白したものといっていいだろう。


 8月の参院は安倍政権にとって焦熱地獄となることは必至だ。