2015年7月27日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第109回です。
【俳句】
強風に・みごとなうねり・夏木立 (宝塚市 松井由紀子)(稲畑汀子選)
(クスノキの大木が大きく揺れるさま、人間サイズを超える現象と感じられる。)
積極的・従属主義や・夏の陣 (横浜市 大井みるく)(金子兜太選)
(大国たりえない日本は少なからず従属的に国家運営をせざるをえない。しかし、ハイハイハイと手を上げて従属していくのも馬鹿だろう。夏の陣に怠りなければ、安倍はつぶれる。)
第三次・世界大戦・夕焼ける (東京都 小笠原啓太)(長谷川櫂選)
(凄い夕焼けというのがある、人類滅亡後を思わせるような。)
扇風機・兄弟喧嘩に・首を振り (松戸市 をがはまなぶ)(大串章選)
(無口だけれど、メッセージがある、というのが扇風機。)
尾道の・坂道下りて・日傘消ゆ (廿日市市 和泉忠伸)(大串章選)
(夜目、遠目、傘の内というが、浴衣に日傘はとりわけいい。坂道の上からの視線では見える部分も少ない。)
【短歌】
終点に・理想の里の・あるやうな・ローカル電車・夏の野を行く (松戸市 吉田正男)(馬場あき子選)
(電車走れども、時間が止まっているような、別の時間の世界に行くような、意識が薄れる夏の真っ昼間。)
家族皆・父の畑に・集まりて・ぬるき西瓜を・割って食べたり (仙台市 新村ルミ子)(馬場あき子選)
(この家族に何があったのだろうか?)
午前5時・腹が減ったか・キツツキが・やけくそ気味に・橅の木叩く (新潟県 涌井武徳)(佐佐木幸綱選)
(キツツキは熟慮・慎重の対極にある短慮・やけくそと見える。作者は余裕ある立場からキツツキを気の毒と聴いているのか、それともやけくそに共感しているのか?)