2015年5月4日



 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第97回です。



 【俳句】



 春眠と・いふ極楽の・一丁目 (神戸市 池田雅一)(稲畑汀子選)



 (「意識」の克服が極楽ということなのだろうが、それなら痴呆、認知症もご近所だろう。)



 蜃気楼・窓辺少女の・つけまつ毛 (市川市 井上三七)(金子兜太選)



 (意味はわからない。ただ単語の羅列として魅力的ではないか。それがシュール。)



 桜闇・戦争またも・立っている (名古屋市 鈴木誠)(金子兜太選)



 (これも意味がとれるわけではないが、不気味さが伝わってくる。これもシュール。)



 【短歌】

 


 病院の・テレビは音を・出さずして・予算委員会・画面に伝ふ (清瀬市 石井孝)(永田和宏選)

 


 (病院の患者無視の不親切か、血圧を上げないようにとの深い配慮か?)



 彼の居る・君のこと好きに・なる午後は・台場にて跳ぬる・ボラを数うる (東京都 根本孝治)(馬場あき子選)



 (東京シティ・ボーイの片思い歌。後ろに大阪シティ・ボーイの失恋歌が出てくる。「居る」は「いる」とすべきだろう。)



 霧こめて・山背吹く夜は・海荒れて・鮫角(さめかど)灯台は・灯を点したり (八戸市 山村陽一)(馬場あき子選)



 (叙景歌なれど叙情いっぱい。作者は何処に立っているのだろう?)



 候補者に・いきなり握手・されし手の・払えど消えぬ・砂の感触 (栃木県 あらゐひとし))(馬場あき子選)



 (嫌悪も歌になる。政治家は握手で票を失うことがあることを知るべし。)



 三年間・ついぞなつかぬ・猫のいた・彼女の部屋を・見あげて過ぎる (大阪市 渡辺たかき))(佐佐木幸綱選)



 (大阪シティ・ボーイは居住地近くで、東京シティ・ボーイは職場近くで、ともにやるせない思いを歌った。)