2015年4月20日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第95回です。
【俳句】
日と月の・休む菜の花・畑かな (稲沢市 杉山一三)(長谷川櫂選)
(日の象徴は烏、月の象徴は兎。時間が止まることを「兎息烏眠」という。辞書にはない。筆者の造語だから。)
鳥帰る・富士の余白を・花道に (羽村市 寺尾善三)(大串章選)
(これはこれは雄大な景色をつかまえたものだ。)
夜桜や・遅れて歩む・子がひとり (富士宮市 渡邉春生)(大串章選)
(1年に何人かは夜桜のために気がふれる子供が出ているであろう。)
貧しき語・発して花を・散らすまじ (熊本市 内藤悦子)(稲畑汀子選)
(この精神がないと俳句、短歌は滅んでいく。)
恐いほど・吾を見てゆく・流し雛 (大川市 中原南大喜)(金子兜太選)
(これは恐い。映画に使えますね。)
【短歌】
つぎつぎと・花入れゆけば・死顔は・花の水面に・浮きいるごとし (倉敷市 滝口泰隆)(高野公彦選)
(なんで死顔をみんなに見せるのだろう?俺は疑問だ。)
すすみゆく・さくら前線・ザクザクと・軍靴の音の・今年のさくら (蓮田市 斎藤哲哉)(永田和宏選)
(この種の俳句短歌は多いが、問題をこういうふうに設定すると、推進者に肩すかしを食らうだけだ。
問題は、自衛隊の若者に数百というレベルで、のちに数千というレベルで死んでもらうということだ。
どういう場合に死んでもらえるのか、ということだ。)