2015年4月13日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第94回です。
【俳句】
父逝きて・納屋に昭和の・種袋 (長野市 斉藤俊幸)(金子兜太選)
(昭和が遠い過去と認識されるようになっていることに小さな驚き。「かつて日本は農業国家でした」などと言われる時代も来るのであろう。)
甘藍(かんらん)に・蝶の来てゐる・八百屋かな (加賀市 西やすのり)(金子兜太選)(長谷川櫂選)
(「かな」の使い方はむずかしいと言われる。この場合、「どういうところのどういう八百屋だろう」と考えさせる意義ある「かな」と思う。)
灯の町を・渡る春灯・モノレール (東大和市 板坂壽一)(大串章選)
(おだやかな灯、ゆっくりとしたモノレールのスピード、春宵値千金。)
農耕車・優先の道・のどけしや (米子市 中村襄介)(稲畑汀子選)
(そんな道があることをもはや知りもしないし、理解もできないだろう。「のどけし」は皮肉なんじゃないか。)
【短歌】
雑布(ぞうきん)を・黒々染めて・春の陽に・物干し竿の・黄砂を拭う (神戸市 中村美優)(佐佐木幸綱選)
(西日本、とりわけ近畿圏の歌だ。色彩的にもタイガース。)
注意深く・あたりさわりの・ない話題・さがしつつ美容・師の冷たい手 (東京都 上田結香)(高野公彦選)
(かってに「・」を入れて申し訳ないが、これでリズムをとらないと筆者はどうも読みにくいのだ。お客とお店の白けた関係、ありますね)
国会に・「八紘一宇」が・とび出して・頭ごちゃごちゃ・今はいつだろ (静岡県 小長谷千鶴子)(永田和宏選)
身ぶるいして・思い出(いだ)せり・四年生の・書初めなりし・「八紘一宇」 (上越市 三浦礼子)(永田和宏選)
(「八紘一宇」が取り上げられているのはこの二つだが、怒りが弱すぎる。ののちゃん県議並みの三原じゅん子という国会議員の無知、馬鹿さに対して辞職勧告するような厳しい歌を作ってもらいたい。)