2015年3月10日


 戦後70周年に当たっての首相談話について提言を得るため安倍首相によって設置された「21世紀構想懇談会」の座長代理・国際大学学長北岡伸一氏が、質問に答えるかたちではあったが、9日のシンポジウムで「私は安倍さんに『日本は侵略した』と言ってほしい」と述べたそうだ。また、この質疑に先立ち、「日本は侵略戦争をした。とてもひどいことをした。明らかです。」とも述べているという。(3月10日朝日朝刊)

 北岡伸一氏は東大教授、国連大使などを経て、集団的自衛権容認閣議決定の基礎を作った「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の座長を務めるなど、安倍首相寄りの論客と見られていただけに、今回の発言は極めて注目される。

 言い方を変えれば、日本の「侵略」について安倍首相一人がいかに世間の常識からかけ離れた見解を持っているかということが、今回の北岡氏の発言からも確認されるということである。


 安倍首相は「侵略の定義には様々ある」などと言って日本の侵略を認めていない。

 この言い方で侵略があったことを認めるのを安倍首相が逃げるのであれば、次のように質問を重ねて首相を追及すべきであると考える。


 「侵略の定義には様々あるとのことですが、定義によっては侵略ではなかったということが言い得るということですか?」

 「その定義は学問的と言える範囲内のもの、すなわち学説と認められるものとお考えですか?」

 「『日本の行為は侵略ではなかった』という結論を得ることができる定義をズバリ言ってください。」

 「その定義によって他国領内に進出した近代以降の戦争で侵略とされる戦争、侵略ではないとされる戦争を仕分けてください。」

 「天動説、反進化論のたぐいは学説という名に値しないのではないですか?」


 要するに2、3の質問を重ねただけで首相は議論を持ちこたえることはできないのである。

 この問題は国際社会で我が国が市民権を維持していけるかどうかという文字どおりの国益がかかっている。議員諸氏の奮起を期待したい。