2015年1月5日


 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第80回です。

 


 【俳句】


 着せ替へる・間(ま)も見得を切る・菊人形 (横浜市 渡辺萩風)(稲畑汀子選)


 (自分にもそんなおかしさがあるのではないかと反省させられる。)


 街道も・今は裏路地・冬椿 (芦屋市 酒井湧水)(稲畑汀子選)


 (地方都市にはこんなところがある。昔は街道沿いだから立派な屋敷もある。)


 短命の・夜学の友や・又一人 (名古屋市 富山貴政)(金子兜太選)


 (苦労、必ずしも報われず。現実は冷酷だ。)

 


  【短歌】

 


 人間の・淋しさなんて・枯葉散る・動物園に・象ひとり居て (川崎市 八嶋智津子)(永田和宏選)

 


 (象に見解を聞いてみたい。)


 暖かき・日差し浴びれば・亡き父が・そばに来たとふ・全盲女生徒 (名古屋市 福田万里子)(馬場あき子選)


 (障害によって研ぎ澄まされた感性がこんな喜びを与えることもあるのですね。)


 千馬力・巻き上げモーター・外されて・空に廃墟の・竪坑櫓(やぐら) (取手市 日永田政好)(馬場あき子選)


 (こういう人がいっぱいいますね。)


 いさぎよく・一葉残さず・落葉して・朴の冬芽は・天を向きたり (前橋市 荻原葉月)(馬場あき子選)


 (前の歌と構図が同じ。すこしだけこちらが前向き。)