2014年12月14日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第78回です。
衆院選結果報道があるため、1日早められたらしい。よかった、月曜は嫌な記事を見ないで済む。
【俳句】
大根引く・一万本の・笑顔かな (加古川市 森木史子)(大串章選)
(植物にそれぞれ性格がある。確かに大根は陽性だ。)
目醒むれば・此岸(しがん)におりし・日向ぼこ (向日市 松重幹雄)(大串章選)
(「目醒むれば・彼岸におりし」の場合も第3句が「日向ぼこ」だったらいいな。)
しぐるるや・鳥の命の・叫び合ふ (柏市 藤嶋務)(大串章選)
(この季節、大事件が発生したかのごとく鳥たちは鳴きますね。)
(結果的に大串章選の句に最近集中する。分析はしないが、理由あることのような気がする。)
【短歌】
ふるさとの・訛りなくさぬ・友といて・少し熱めの・反骨の酒 (石川県 瀧上裕幸)(馬場あき子選)
(元歌は、御存じ寺山修司の「ふるさとの・訛りなくせし・友といて・モカコーヒーは・かくも苦し」。歳とって丸くなっているのかも。)
原発の・賛否を評決・する前に・我が福島を・歩いて欲しい (いわき市 馬目弘平)(佐佐木幸綱選)
(東京オリンピックとか紅白歌合戦とか、そういう集団的軽薄はやめて、福島の現況を国民共通の認識にすべきだ。)
うちの薔薇に・おなりと小鳥も・蟷螂(かまきり)も・骸(むくろ)をそっと・庭に埋(うず)める (川西市 市森晴絵)(佐佐木幸綱選)
(僕もそれくらいでいい。でかすぎるか!)
季節とは・思い出の皿・ 彼はと・打てば枯葉に・変換されて (大阪市 安良田梨湖)(高野公彦選)
(機械に意図なきがゆえに、かえって胸にとげ刺す。)
注連縄(しめなわ)と・輪飾り作る・生業も・この暮限り・ホスピスに入る (八街市 野坂邦彦)(高野公彦選)
(四季ある国ゆえの逃れがたき寂しさ。)
剃髪を・しておる身ゆえ・髪の毛の・薄くなりしは・好都合なり (三原市 岡田独甫)(高野公彦選)
(俳句的世界の短歌版。たまにはこういうのもいい。)
靴の裏・見せて女の・椅子におり・更けゆく時を・たのしむように (西条市 亀井克礼)(永田和宏選)
(もはやそこら辺には怖いものなし、の境地。)
住みぬいて・やろうと決めた・ほんとうの・夜の暗さの・残るこの村 (岩国市 木村桂子)(永田和宏選)
(闇とひとり対決するこの強い決意に充実感がある。か弱き男は見習うべきだ。)