2014年10月1日
野球の世界の話、特に高校野球の世界での話で、タイブレーク制を御存じない方も多いから、まずタイブレーク制とは何かを確認しよう。
朝日新聞の記事から引用する。
「試合が同点のまま延長戦に突入した場合、事前に設定された回から得点が入りやすい状況で攻撃を始めるルールのこと。すでに高校野球でも国体や明治神宮大会では実施され、延長10回以降の攻撃は1死満塁から始まり、10回の攻撃の打順は選択することができる。」
サッカーでいえばPK戦にあたる。
現在、春夏の甲子園では延長15回引き分け再試合となっているが、これに代えてタイブレーク制を実施することが検討されている。
その目的は、選手、特に投手の障害防止、開催日程の円滑な消化、次の試合における疲労による極端な不利の回避である。
今年の8月、軟式野球の全国大会準決勝で4日間に及ぶ延長50回という試合があったのを記憶されている方も多いであろう。この事例ではこの試合での勝者が次の決勝戦でも勝利し、連戦の不利を跳ね返したのであったが、負けていれば決勝戦での不利の問題が必ず指摘されていたであろう。
以上のような事情からすれば、勝負の決着を早めるためにタイブレーク制の導入はやむを得ないと考える。
ただし、試合の早期決着という要請とともに全力を挙げて勝利を目指してきた選手の納得感を得ることが肝心であり、その観点からすると現在実行されている「1死満塁」及び1イニングでの決着というルールは改善されなければならない。
3塁にランナーを置くことは、ワン・ミス(例えばワイルド・ピッチ、野手のエラーなど。)で勝負が決着してしまいかねない。そもそも投手によっては、連打、連続四死球などの結果でしか発生しない「1死満塁」という事態を招くことはほとんど考えられない。ほとんどありえないケースでのワン・ミスでの決着は納得しにくいし、ミスした選手にあまりにも過酷である。
同じことは攻撃側にも言える。「1死満塁」はダブルプレーが起きやすい。最初のバッターがダブルプレーを喫すれば、他のバッターにチャンスをまったく与えないことになる。ダブルプレーを招いたバッターの責任が重すぎる。
このような特定の選手に過酷な「サドン・デス」を避けるため、まず、タイブレーク制は複数回、3イニング決着とすべきである。具体的には、12回までは通常の延長、13回から15回までのタイブレーク制とするのである。
そして、ランナーの配置は「1死2塁」とすべきである。ワンヒットで本塁までランナーが戻れるか、バンドで3塁に進めるかなど、観客にとっても面白い内容になる。
この方法により決着は若干遅れることはあるが、タイブレーク制の目的を実現しつつ、特定の選手に過酷な責任が発生してしまうことも回避できるし、決着についての選手たちの納得も得やすいであろう。
なお、15回で決着がつかない場合、次の段階として16回から「1死2、3塁」とすることも考えられるであろう。
本件については全国高校野球連盟に提案を郵送して採用を働きかけている。