2014年9月15日



 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第65回です。
 

 

【俳句】


 山門に・佇(た)ち涼風を・見渡せる (浜田市 田中静龍)(稲畑汀子選)


 (ひと汗かいて石段を上がって振り返るの図。)


 世間とは・巨大な影だ・積乱雲 (三郷市 岡崎正宏)(金子兜太選)

 

(積乱雲のスケールは非人間的なものへの想像を呼ぶ。)


 無花果(いちじく)を・啖(くら)ひ馴染みの・嘘を聞く (横浜市 本田豊明)(金子兜太選)


 (これはもしかすると政治家批判かも。)


 蝉という・今一念の・勁さかな (小平市 嶋中征士郎)(金子兜太選)


 (あの蝉の鳴くには意志、決断があるはずだ、という思い。)


 名月や・孫の友達・良き子なり (横浜市 込宮正一)(金子兜太選)


 (結婚相手だろうか?一族繁栄の藤原道長の心境。)




【短歌】


 窓閉めて・遠い花火を・眺めてる・静かな夜に・鳴らない電話 (船橋市 酒井知衣)(永田和宏選)
 

 (青春恋愛歌数多くあるが印象歌少ないのは年齢のせいか?俵万智調・口語調が多いのも気になる。)


 野紺菊・りんどう草藤・むらさきの・花野さびしき・嫠婦(りふ)の集まり (大分市 岩永知子)(高野公彦選)


 (嫠婦とは夫を亡くした人のこと。この人はユーモアがある。花野はぜんぜんさびしくはないではないか。)