2014年9月1日


 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第63回です。

 


 【俳句】


 国道に・戦車のごとく・八月あり (印西市 麦丘馬)(長谷川櫂選)


 (この「八月」は今年の「八月」だ。)


 立秋や・いのち惜しみて・寝そびれし (福津市 松崎佐)(大串章選)


 (味わっていたのは「立秋」か、何かの思い出か?)


 夏痩せを・案じてくるる・子なりけり (泉大津市 多田羅初美)(稲畑汀子選)


 (お亡くなりになったのだろうか、親を裏切るワルになってしまったのだろうか?)


 わたくしは・ひつくりかえった・兜虫 (野洲市 鈴木幸江)(金子兜太選)


 (カフカ?)


 【短歌】

 


 幾そ度・歌ひしものか・「みたみわれ」・報国隊の・女学生なりき(徳島市 磯野富香)(佐佐木幸綱選)

 


 (「みたみ」とは「天皇の民」という意。「純」だった過去への懐かしみの一首と受けとめるが。)

 


 トリコロール・くるくる回る・理髪店・看板ネコの・いない猛暑日 (名古屋市 中村桃子)(佐佐木幸綱選)


 (作者が中一であることを別記事で知った。機械だけが動いてネコさえいなくなる暑さ。この把握力、こどものものとは思えない。)

 


 蟷螂(マンティス)が・夜の独房に・忍び込み・功夫(カンフー)名手の・如く威嚇す

(アメリカ 郷隼人)(高野公彦)

 


 (夜の珍客に微笑んでいるのか、突っ張っていた過去の自分をそこに見ているのか?。)


 夏の夕・会いたくなるのは・君ではなく・君をあそこで・待っていた我 (和泉市 星田美紀)(永田和宏選)


 (若い作者にして覚めた自己分析。)


 鵜には鵜の・魚には魚の・蜻蛉には・蜻蛉の時間・不忍池 (東京都 山木海絵子)(永田和宏選)


 (それぞれみんな無関心。それでいいのだ。)


 長寿国・仏間に掛る・若者は・陸と海との・軍服姿(香川県 出村匡)(馬場あき子選)


 (この年齢になって見るとほとんど子供だぜ。)