2014年7月28日


 

 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第58回です。

 


 

 【俳句】



 盆栽を・借りて巨大な・蟻となり (東京都 たなべきよみ)(金子兜太選)



 (借りたのも、巨大になったのも主語はアリなんだ。)



 雲の峰・国のかたちも・崩れけり (那須烏山市 川俣水雪)(長谷川櫂選)



 (入道雲が崩れて雷雨となる。)



 幽霊の・叱られていし・楽屋裏 (河内長野市 平田恭一郎)(大串章選)



 (何ともいい場景を見つけてくれました。)



 【短歌】

 


 ただ生きんと・金魚犇(ひし)めき・あぎといぬ・生餌と書かれし・袋の中で 

(大和郡山市 四方護)(永田和宏選)(馬場あき子選)

 


 (「あぎとう」は水面で口をパクパクすること。この残酷、人は慣れちゃう、その残酷。)

 


 吾が父の・下着に大きく・名前書く・老人ホームに・入る準備に  

(横浜市 飯島幹也)(馬場あき子選)

 


 (幼稚園入園のように明るく受けとめることはできない相談だろうか?)

 


 水路沿いに・ジャンボタニシの・殖えゆきて・早苗の水田(みずた)に・ピンクあいなし 

(久留米市 塩山雅之)(佐佐木幸綱選)

 


 (「あいなし」は「あるまじきことだ」との意だそうだ。筆者も目にするがそのピンクは本当に気持ちが悪い。ジャンボタニシの卵なのだ。)



 どんぶりに・薩摩芋置き・陽に当てて・発芽楽しむ・アパート暮らし

 (鎌倉市 小島陽子)(高野公彦選)



 (どんぶりで、アパート暮らしだから、ポエジーになる。)



 闘いは・まだこれからと・議事堂へ・響く声あり・七月一日 

(東京都 十亀弘史)(永田和宏選)



 (報道がされなくなったからといって決着しているわけではない。歌壇、俳壇に頑張ってもらいたい。)