2014年7月27日


 

 

 

 

 「小紋雅話(こもんがわ)」という江戸時代の本がある。実は写楽ではないかという説もある山東京伝という人の書いたもの。江戸小紋という染めのデザイン・アイデア集のかたちをとっているが、156に及ぶデザインのほとんどにはコメントが付されていて、実は風俗・滑稽読みもので、けっこう際どい。


 

 そこにウナギも登場する。とはいってもすでに串に刺された蒲焼状態のウナギ。これが市松模様(格子状で黒白順番に並んでいる模様)となっていて「鰻つなぎ」と命名されている。

 それに付されたコメントは、「腎虚した人、この切れを褌にして妙なり」。すなわち、精力減退の人にはこのデザインの布で作ったふんどしが効き目がある、である。


 

 なお、「小紋雅話」を「遊びのデザイン」として昭和の世に出版したのは谷峯蔵という人だが、氏の「鰻つなぎ」についての解説には、万葉集・大伴家持の歌が登場している。その歌は「石麻呂に・われ物申す・夏やせに・良しという物そ・うなぎ取り食(め)せ」。