2014年6月23日


朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第53回です。

 

【俳句】


 ひと夜さの・雨の錘(おもり)の・薔薇を剪る (松原市 加藤あや)(稲畑汀子選)

 (手に感じる意外の重み。)


 青春の・終りのその日・樺(かんば)の忌 (平塚市 日下光代)(金子兜太選)

 (60年安保経験者はアラセブン!ところで「青春の終りの日」とは何があった日なのだろう?)


 長々と・ああ長々と・蛇交(つる)む (多摩市 金井緑)(長谷川櫂選)

 (そこから感じられる生命力が神社のしめ縄となったとは民俗学の教えるところ。残念ながら筆者は実見していない。)


 蠅叩(はえたたき)・昭和の家と・ともに古り (長野市 懸展子)(大串章選)

 (家具と家具の隙間に入れておいたりするから。)


 【短歌】

 


 人間は・愚者なりと思う・その故に・憲法という・歯止め尊ぶ (群馬県 小倉太郎)(永田和宏選)

 

 (自己認識を含むゆえ歌となりうる。なお、愚者であり、深刻なことに時に悪人にもなると筆者は言いたい。)

 


 不意討ちは・張り手げんこつ・頭突き蹴り・子供の寝相に・自衛権なし (奈良市 おがわのりこ)(佐佐木幸綱選)(高野公彦選)

 

 (元気な子供を喜び子育てを楽しんでいる。)

 


 よどみなく・アベノミクスと・唱え居り・休耕田は・汚染土の山 (福島県 山崎圭)(佐佐木幸綱選)

 

 (苦々しい思い。寺山の「故郷の・なまりなくせし・友といて」を思い出す。)