2014年4月13日


朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第43回です。14日(月)が新聞休刊日のため1日早く掲載されました。


【俳句】


大笑の・蛤二つ・椀の中 (千葉市 愛川弘文)(長谷川櫂選)


(のびのび、屈託なし。)


ゆく春の・渚を遠く・まで歩く (枚方市 上野鮎太)(長谷川櫂選)


(浜の風ももはや冷たくはない。)


この家の・苦悩も知らず・燕来る (和歌山県みなべ町 大野こまさ)(大串章選)


(「神」「宇宙」「自然」といった超越的存在は、ちっぽけな人間などには無関心である。)


その日より・飾らぬ雛と・なりしかな (神戸市 熊岡俊子)(稲畑汀子選)


(喪失はそれにとどまらず、連れを伴う。)


【短歌】


教室は・折り紙の花・咲き満ちて・一年生の・キラキラを待つ(越前市 内藤丈子)(佐佐木幸綱選)


(筆者の小学校の入学の日、黒板一面に赤、青、白の白墨で「花、咲き満ちる」大きな絵が描かれていた。それを描いた担任だった女の先生は、今、痴呆激しく、何年か前、家族からクラス会への出席の不可能の連絡があった。)


石北の・線路の鹿の・群れなして・夜行列車皆・静かに待てり (北見市 斉藤敏大)(佐佐木幸綱選)


(こういう景色、こういう時間が日本にあるんだ。)


感動を・与えたいもらいたい・ありがとう・感動病が・渦巻く日本 (伊那市 田邊幸子)(佐佐木幸綱選)


(その異常、その狂気、その執着は、必ずや社会に病理をもたらすであろう。悪人が虎視眈々とここに狙いをつけている。)


そう言えば・そんな生徒(こ)もいた・俯いて・踊子草の・淡い羞(はじら)い (延岡市 河野正)(永田和宏選)


(踊子草は名前のわりには地味な花だ。)