2014年3月17日



朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第39回です。


【俳句】


春の雲・はだかの女神・ひとりづつ (いわき市 馬目空)(長谷川櫂選)


(まことにのどかな、たっぷりのエロスだ。これを、どうしようもないみずからの色欲にあきれる歌とは読めないか。)


ふくしまの・棄民に積る・涅槃雪 (福島市 池田義弘)(金子兜太選)


(人の社会に救いはなし。黙って慰めてくれる自然。)


我が鬱に・朝一ト跳びや・猫の恋 (船橋市 斉木直哉)(金子兜太選)


(一途、夢中の猫の声を聞けば、鬱などあほらしくなってくる。)


【短歌】


軒下の・斑雪(はだれ)に猫の・水っぽい・足あと残り・日の暮れにけり (鎌倉市 月村邦子)(永田和宏選)


(読む方に何も要求しない。情緒を含む言葉に依存しない。誠に潔い歌。)


円く錆び・古き馬欠(ばけつ)は・畑中に・忘却耐へて・ひとり転がる (岐阜市 後藤進)(馬場あき子選)


(擬人歌。擬老人歌)