2014年3月10日


朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第38回です。


【俳句】


一本の・道が生まれる・雪野かな (青森市 小山内豊彦)(長谷川櫂選)


(誰かが一度選んだ道がその後の道となる。筆者、これから長野に出発だが、今冬最後の寒波。)


吉報が・春愁をふき・とばしたる (荒尾市 鶴田幾美)(稲畑汀子選)


(人事と自然が錯綜する季節だ。)


【短歌】


母の忌の・位牌に侍する・赤べこの・飽くなき首肯・わが消ゆるまで (土浦市 茂手木晧介)(馬場あき子選)


(2つのポイント。1つが母に対する飽くなき首肯、2つが「わが消ゆるまで」という死の予感。)


「ボルネオで・何をするの?」と・聞かれるが・わかってないなぁ・何もしないのさ(東京都 上田結香)(高野公彦選)


(「何もしない」ということがわからない人は多い。)


期待しすぎた・罪負う者の・ひとりにて・高梨沙羅の・涙を見つむ (茨木市 瀬川幸子) (永田和宏選)


(筆者もその罪を負う。しかし、「期待しすぎた・罪負う者の・その罪を・高梨沙羅は・ひとふきに飛ぶ」。)