2014年2月18日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第35回です。
【俳句】
恋猫や・シェークスピアの・村芝居 (桶川市 小林茂之)(大串章選)
(オシャレだ。日常世界をちがって見せる。)
獅子舞に・頭食わすも・文化かな (鈴鹿市 東口正男)(金子兜太選)
(文化ですね。みんなで楽しめる荒唐無稽さがいい。九段のインチキ神社の持つ騙す側と騙される側という二極構造がない。)
時計めがね・春に浮かれて・隠れん坊 (東京都 青柳森)(金子兜太選)
(こういう責任転嫁もいいですね。これも一種の世界の転換といえるでしょう。)
【短歌】
比島より・父は遺骨で・帰りしか・千鳥を拝す・靖国を背に (宇都宮市 鈴木孝男)(高野公彦選)
(「千鳥」は「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」。短歌は理屈を言うのではなく、このように嫌悪は嫌悪として表わせばいいのだ。)
孤独死なき・介護施設を・見舞えれば・姉の淋しき・瞳に出会う (東かがわ市 河野久之)(高野公彦選)
(「孤独死」という言葉の問題を突いている。単に死亡が発見されないという事実と「孤独」とは次元が違う。言語批判は「詩」の仕事の一つ。)
半農の・漁師ら白き・豆畑に・海の歌など・口ずさみおり (垂水市 岩元秀人)(馬場あき子選)
(畑仕事より海の仕事のほうがおもしろいのでしょうかね?日本画の一風景が頭に浮かぶ。)