2013年10月28日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第20回です。
【俳句】
秋高し・邪馬台国を・訪ねけり (飯塚市 釋蜩硯) (大串章選)
(作者は福岡県飯塚市、それならば訪ねたのは北九州であろう。邪馬台国・九州説を確信する人の爽快感が「秋高し」に出ている。)
只今の・声にも稲の・にほひかな (須賀川市 関根邦洋) (大串章選)
(稲刈り作業からの帰宅。聴覚と嗅覚のふしぎ。)
なほざりに・するも気配り・虫の庭 (芦屋市 田中節夫) (稲畑汀子選)
(虫、この場合は秋鳴く虫のはず。その情緒を感じるのは日本人独特ということを聞いたことがある。 )
【短歌】
海霧が・谷うめつくす・占冠(シムカップ)・白き闇より・オオルリが飛ぶ
(横浜市 杉本恭子) (高野公彦選)
(こういう大きな構図で季節を歌うということがだんだんむずかしくなってくるような気がする。)
さつまいもに・うす紫の・花が咲き・百舌啼き秋は・まっすぐに来る
(浜松市 阿部俊子) (馬場あき子選)
(前の歌もそうだが、叙景に徹するというのは潔さを感じさせてくれる。)
背の高い・ススキにさわさわ・見送られ・中学校の・見学に行く
(富山市 松田わこ) (佐佐木幸綱選)
(歌壇常連姉妹の妹。いつも、なるほどと着眼に感心させられるのだが、今回は素朴、ストレートなのがいい。)