2013年10月21日


 朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第19回です。

【俳句】 

 敗荷(やれはす)や・兵は死すべき・ものとされ  (新潟市 伊藤敏) (大串章選)

 (枯れハスの姿と死すべき兵士、無残の連想なり。) 

 わが住むは・古墳の里や・夜夜の月  (富津市 榎本静江) (大串章選)

 (古墳と月は似合う。最近、筆者は邪馬台国九州説への確信を深めている。)

 コスモスの・朝日こぼして・吹かれけり  (枚方市 樋口正太郎) (大串章選)

 (コスモスの不安定の揺れの様、「朝日をこぼす」とは……うまい。)


 秋草や・屋号入りたる・桶二つ  (東京都 大澤都志子) (大串章選)

 (秋草とそこにころがる屋号のある桶、滅びの連想なり。「桶二つ」は何かを象徴?)

【短歌】


 3首、いずれも世の男どもの反省を促している。

 無花果(いちじく)の・花はかなしも・人知れず・実の内に咲き・散ることもなし 

  (福島市 美原凍子) (高野公彦選)

 関わりし・女性らの名を・列挙して・『断腸亭日乗』は・二ページを割く

  (神奈川県 富田茂子) (永田和宏選)

 明月の・光に見れば・我知らぬ・寂しき顔の・妻でありけり 

 (千葉市 愛川弘文) (馬場あき子)