2013年10月14日




朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第18回です。

【俳句】 

 福島いま・地獄の如し・彼岸花  (いわき市 坂本玄々) (金子兜太選)

 (福島告発句多々あれど、凄みまで見せる句は稀。)

 秋日和・がん病棟の・美容院  (東京都 おがわまなぶ) (大串章選)

 (続く2句もそうだが、自己顕示を見せず、個性へのこだわりいささかもなく、淡々と作句されている。この世界でのある到達があるのだろう。)

 秋晴れや・さらりと流す・過ぎしこと  (名古屋市 中野ひろみ) (稲畑汀子選)

 里山の・しづかな秋の・夕べかな  (枚方市 上野鮎太) (稲畑汀子選)



【短歌】

 ただ回る・だけの大きな・水車あり・食の駅という・レールなき駅に 

  (前橋市 荻原葉月) (佐佐木幸綱選)

 (反商業主義的心情の穏やかな吐露、にもかかわらず(ゆえに)強い批評性がある。)

 ときめきて・高齢者たち・群れてをり・株価急騰の・後場の画面に 

 (御所市 内田正俊) (佐佐木幸綱選)

 (前句と同様。きつい批判をもちつつ、ただ風景として表現されている。)

 暮らしぶり・大きくせぬよう・粛々と・秋だよ虫たちの・声が聞こえる 

 (鎌倉市 小島陽子) (高野公彦選)

 (日本の自然は貧者を豊かにすることができる。それに比べてアベノミクスのトリクルダウン理論のなんと貧しいことか!)