2013年10月8日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第17回です。
【俳句】 3句とも秋の空の広がりと空気のさわやかさを感じさせてくれる。
括らずに・萩は意のまま・風のまま (姫路市 上原康子) (稲畑汀子選)
(萩は荒れた感じがいいものだ。)
赤ん坊の・大仏顔や・天高し (横浜市 島田あき子) (長谷川櫂選)
(大仏が前を見ず、空を見上げているという、でかい構図。赤ん坊は太って大きい子だ。)
やまざとの・人を怖れぬ・蜻蛉かな (川口市 青柳悠) (長谷川櫂選)
(人を怖れぬトンボは自転車に並走してきたりする。)
【短歌】
思い出の・君は笑ってる・思い出の・私も笑顔・だったらいいな
(さいたま市 飯塚瑠美) (永田和宏選)
(はじめの「思い出」に「私の」を補い、次の「思い出」に「あなたの」を補うわけだ。)
敬老の日・ひとりは階下で・タバコ吸い・ひとりは二階で・台風みており
(松戸市 猪野富子) (馬場あき子選)
(なんでもないようだが、小説的、映画的だ。)
ゆっくりと・病の数値は・下がりいて・大観覧車の・見ゆる病院
(東京都 倉地優輔) (馬場あき子選)
(「病の数値」と「大観覧車」、関係ないようでいて二重の関係がある。気持ちの解放感と上下の動き。)
蝶が来て・蜂来て蟻も・登り来る・槿(むくげ)忙しく・一日終わる
(秋田県 松田淳) (佐佐木幸綱選)
(作者は忙しくないようだ。)