2013年7月22日
朝日新聞俳壇、歌壇からの印象句、印象歌の報告、第6回です。
【俳句】
紫陽花や・いつまで老いの・一人旅
(富里市 佐藤正雄) (金子兜太選)
(老残の惨めとも言えるが、「さびしさなくば住み憂からまし」の境地とも受け止められる。)
亡き母と・思へば妻や・昼寝覚
(千葉市 愛川弘文) (長谷川櫂選)
(これまた「老い」に生じる現象だと思う。)
踏切を・吾より先に・夏の蝶
(大津市 安村久美子) (大串章選)
(踏切・鉄路が感じさせる乾いた暑さ、先を越される吾の倦怠・疲労、見事な盛夏の把握。)
片蔭の・反対側で・バスを待つ
(相馬市 根岸浩一) (大串章選)
(どういうこととちょっと考えさせて、ああなるほど、これまた盛夏が捉まれている。)
【短歌】
家事いくつ・すませて来たる・図書館に・座れり森に・ひとりゐるごと
(三鷹市 増田テルヨ) (馬場あき子選)
(「孤独・ニアリーイコール・充実」の世界。)
父と我・ともに在りしは・七十日・万里の海を・間に置きて
(宇都宮市 鈴木孝男) (高野公彦選)
(これも、どういうこととちょっと考えさせる。重い悲劇が戦無世代にはクイズになってしまう。)
貴方との・繋がりほしい・休日に・チャンネル合わせる・「日曜美術館」
(西宮市 佐竹由利子) (高野公彦選)
(確かに、午前9時からの「日曜美術館」には空いている・そして空いたままになるであろう午後への「提案」がはらまれている。)